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宝石学会(日本)

The Gemmological Society of Japan  / Founded in 1974

学会概要

創立の趣意

 宝石に対する関心が国民の間に今日ほど広くもたれている時代は、わが国の歴史にいまだかつてみあたりません。宝石が大衆化する時代が、日本にもようやく訪れたのでしょう。
 当然、宝石に関する正しい知識の普及とそれをバックアップする宝石学の振興が強く要望される時代になってきたといえましょう。
 わが国の宝石学の情況は、この要望にこたえるだけの体制には残念ながら、まだなっていないようであります。久米武夫氏の初期的な研究がありながら、日本には宝石学が在存しないという比判が外国の宝石学者からしばしば寄せられたものです。最近の宝石鑑別に対する要望の高まりから、数人の開拓者の努力によって、宝石の教育鑑別機関が設立され、その活動を通じて、宝石に関する知識の普及が近年急速に行なわれるようになってきました。それらの機関の果たした役割はたいへん大きく賞賛に値するものではありますが、その現状は必ずしも充分とはいえません。すなわち、相互の間の協力関係は少なく、鑑別と教育業務に忙殺きれて基礎的な研究に力をそそぐ余裕は必ずしも持ってないように思われます。また同種の鑑別機関がいくつも並立し、統一的公共的な機関が在存しない現状に対する不満と批判が長い間宝石界有志の間でもたれておりました。
 一方、宝石学と深い関連のある鉱物学や無機材料科学の分野にも、宝石に関係のある研究が数多く行なわれていたにもかかわらず、その成果を宝石界に還元する努力はほとんどなされず、むしろ、宝石に関心をもつ科学者として好ましくないといった悪い気風が残存していたように思われます。
 国民の支持で行なわれた研究の成果を科学者の中にだけとどめて、国民一般に還元しえないことは、むしろ、科学者の怠慢というべきでしょう。種々の工業分野で科学者の成果と現場の技術とが良い協力関係にあるにもかかわらず、こと宝石に閑してそれが行なわれていないことは、まことに残念なことだと言わねばなりません。
 このように見てくると、今日ほど宝石学の振興をはかり、その成果を普及する必要性の高まった時期はないように思われます。この際衆知を集め、権威ある宝石学の学会を設立することが急務であります。そのためにはさらに公共的な立場で、宝石学の進歩と発展と普及をはかることが必要であります。これは従来の諸事業を否定するものでは勿論ありません。それらの活動が積極的に進められることが宝石学の知識の普及に大きな役割を果たしていることは確かであります。しかし、それらの活動とは異なった次元でそれよりもより深いところに焦点をあわせ、かつ科学者と宝石界との間に連繋がとれ両者の良き協力関係が進められることが今日最も必要であります。
 ひるがえって、諸外国の情況をみてみましょう。国によって異なった形態をとっていることは勿論でありますが、おおむね国に一つの公共的な性格の宝石学会機関があります。科学者と業界との密接な関連もとられているようです。良い例は、英連邦宝石学協会であります。この協会の会長は大英樽物館長のClaringbull博士で、副会長としてはEdward H.Kraus博士がおられるのをはじめとし、以下諸役員をみても科学者と鑑定を業務とする宝石界出身の方々との協力体制がよく保たれ、かつ宝石学の権威を高く維持していることがうかがえます。英連邦宝石学協会では会誌の発行と、宝石学の知識の普及をおもな任務とし、鑑別業務は行なっていないようです。会誌は科学者側からも投稿があります。この姿はわが国で宝石学会を創立するに当りたいへん参考になります。
 今日わが国で最も要望されているのは、したがって、科学者と、宝石界との良き協力関係を生みだし、両者が有無相通じ合うことによって宝石学を振興し、その成果を還元する公共的な媒体をつくりだすことでありましょう。さいわいに今日、科学者側にも宝石業にたずさわる人々の間にも、宝石学の知識をもった人々が相当増えております。そこで我々有志相集まって、宝石学会(日本)の創立を決定いたしました。この趣旨にご賛同いただけましたら、貴殿にも宝石学会(日本)にご参加頂きたくお願い申上げる次第です。
 なお、宝石学会(日本)の目的・組織などは会則をご参照下さい。

 1973(昭和48)年9月1日

宝石学会(日本)

発起人代表 砂川 一郎

会 則

(総則)
第1条 本会は宝石学会(日本)(The Gemmological Society of Japan)と称する。
2.本会の事務局は、東京都台東区上野3丁目20番8号 小島ビル6階 に置く。
第2条 本会は宝石学およびこれらに密接に関連する科学の進歩と普及をはかることを目的とする。
第3条 本会はその目的を達成するため、次の事業を行う。
1.会誌その他の出版物の刊行
2.講演会その他学術に関する集会の開催
3.研究の奨励および業績の表彰
4.その他目的を達成するための事業
(会員)
第4条 本会は次にあげる会員で組織される。
1.正会員 宝石に関連する諸科学について関心のある者で、常任評議員会で承認された者。
2.学生会員 本会の目的に賛同する学生で、常任評議員会で承認された者。
3.賛助会員 本会の目的に賛同しこれを援助しようとする個人または団体で、評議員会で承認された者。(団体の場合は会員権を行使する者、1名を本会に通知しておかねばならない。)
4.名誉会員 宝石学について顕著な功績のある者のなかから評議員会が推薦し、総会の議決で定めた者。
第5条 本会に入会を希望する者は、所定の用紙にて本会に申し込むものとする。但し、学生会員に関しては学校等の在籍証明もそえること。
第6条 本会の会員は次の場合退会したものとする。
1.本人より退会希望の申し出があったとき
2.会員が死亡したとき
3.会費を1年以上納入しない者の退会は意向を確認する
4.第7条の規定により除名された者
第7条 会員にして本会の名誉を著しく毀損し、目的に反する行為があった者は、評議員会の議決を経て除名することができる。
第8条 会員は次の権利をもつ。
1.会誌などの配布を受ける。
2.本会の催す講演会、研究会などに参加する。
3.会誌に寄稿し、講演会で研究発表を行う。
4.評議員会に本会の事業運営について意見を述べる。
(資産・会計・会費)
第9条 本会の資産は次の各号をもって構成し、会長が管理する。
1.入会金及び会費
2.寄付金品
3.事業に伴う収入
4.資産から生じる収入
5.その他の収入
第10条 本会の経費は資産をもって支弁する。
第11条 本会の会計年度は毎年4月1日にはじまり、3月31日におわるものとする。
第12条 本会の各年度収支予算は、常任評議会で作成して総会に掲示され承認を得なければならない。
第13条 本会の各年度決算は、年度終了後2ヶ月以内に監事の監査を受けて直後の総会に報告、承認を得なければならない。
第14条 本会の会員は、次の入会金及び会費を前納しなければならない。
 入会金 会費(年額)
 正会員 不要  6,000円
 学生会員 不要  3,000円
 賛助会員 20,000円 1口につき20,000円以上
 名誉会員 不要  不要
(役員)
第15条 本会は次の役員を置く。
 会長・・・1 名・・・評議員の互選による。
 評
議員・・・10名以上15名以下。
 常任評議員・・・若干名・・・評議員の互選による
 会計監事・・・2 名・・・総会において選出する
第16条 会長は本会を代表し、会務を掌握し総会、評議員会、常任評議員会を召集する。会長事故ある場合の代行者は、あらかじめ定めた序列に基づき常任評議員がこれに当る。
第17条 会長及び評議員は、評議員会を構成する。評議員会の議長は会長がこれに当る。ただし、会長は評議員会議長を評議員中より指名委任することができる。
第18条 会長及び常任評議員は、常任評議員会を組織する。常任評議員会の議長は会長または会長指名の常任評議委員がこれに当る。
第19条 役員の任期は次の通りとする。
 会長・・・2年
 評議員・・・2年
 常任評議員・・・1年
 会計監事・・・2年
 評議員は、2年ごと改選する。但し、再選をさまたげない。
第20条 総会は本会運営の最高議決機関である。総会は会員で組織し、出席会員の過半数の議決で成立する。但し、総会の開催は開催日1週間前までに文書をもって通知しなければならない。
第21条 評議員会は、総会の定めた基本方針に従い、運営事項を審議決定する。
第22条 常任評議員は、総会の議決に基づき、庶務・会計・会員・情報・編集・行事・その他の本会の業務を施行する。常任評議員は、常任評議員会の議決を経て業務を分担することができる。またその業務を円滑にするため、会員中より委員を委嘱することができる。
第23条 本会の役員選挙・表彰・運営・委託事業等の必要な細則は評議員会が別に定める。
第24条 本会会則の改定は総会の議決により行う。
第25条 本会が解散する場合は、総会の議決による。解散時の残余財産は類似目的の他の公益法人に寄付する。

付 則  この会則は、昭和49年6月28日から施行する。
付 則  この会則は、平成16年6月12日改正。
付 則  この会則は、平成23年6月4日改正。
付 則  この会則は、平成24年6月9日改正。
付 則  この会則は、平成29年6月11日改正。

付 則  この会則は、令和4年6月11日改正。

役員紹介

会長 (兼編集担当)    神田 久生(元物質・材料研究機構)
評議員    山﨑 淳司(早稲田大学創造理工学部)
評議員    勝亦 徹(東洋大学理工学部)
評議員    川口 昭夫(京都大学複合原子力科学研究所)
評議員    宮﨑 智彦(ジェムリサーチジャパン)
常任評議員(情報担当)    林 政彦(早稲田大学理工学術院総合研究所)
常任評議員(会計担当)    矢崎 純子(真珠科学研究所)
常任評議員(行事担当)    高橋 泰(山梨県立宝石美術専門学校)
常任評議員(行事担当)    古屋 正貴(日独宝石研究所)
常任評議員(会員担当)    渥美 郁男(東京宝石科学アカデミー)
常任評議員(会計担当)    山本 亮(真珠科学研究所)
常任評議員(庶務担当)    北脇 裕士(中央宝石研究所)
常任評議員(庶務担当)    江森 健太郎(中央宝石研究所)
会計監事    沢井 寿哉(真珠総合研究所)・
      齊藤 宏(エージーティージェムラボラトリー)

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